HOMEガンマナイフハイパーサーミア一心だより糖尿病コーナー
開院挨拶病院概要施設概要スタッフ医療機器病院への道順医師求人情報一般求人情報


糖尿病の慢性合併症(平成13年1月)

 なぜ糖尿病は症状がなくても治療しなければならないのでしょうか。
それは恐ろしい合併症の引き金になるからです。合併症について良く理解することが糖尿病治療の大切さを理解することになります。
 糖尿病合併症は大きく二つに分けられます。インスリン作用不足が高度になって救急車で運ばれる急性合併症と、長年にわたる持続する高血糖の結果によって起こる慢性合併症があります。ここでは慢性合併症について述べます。これは長時間持続する高血糖を含む代謝障害により全身の血管がおかされて各組織の退行変性によって発症します。すなわち糖尿病はもともとホルモン、代謝の病気ですが、血管の病気といっても過言ではありません。
慢性合併症には糖尿病三大合併症と言われていた、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害と、老化現象の促進による動脈硬化症があります。

糖尿病網膜症
 眼底の血管が傷みこぶができたり、血液成分が眼底ににじみ出たり、出血したりします。硝子体出血や網膜剥離を起こすと視力障害を起こします。さらに進行すると失明します。中年以降の失明の原因の第一は糖尿病網膜症です。症状が無くて進行し、症状が出る頃には相当ひどくなっています。視力が落ちてきて眼科を受診し、血液も尿も検査する前に眼科で「あなたは糖尿病だから内科へ行きなさい」と言われる患者さんはけっして珍しくありません。
 早期であれば内科的治療と眼科での光凝固療法で進行を止める、または遅らせることが出来ます。

糖尿病腎症
 腎臓の糸球体血管に網膜症と同じ病変がおこり、糸球体の破壊と機能停止が起こります。尿にアルブミンというタンパクがでるようになり、どんどん進行して腎機能が落ちてきて、尿と共に身体の老廃物を体外へ捨てることができなくなり、血液透析をしなければならなくなります。新しく血液透析をする患者さんでは糖尿病が原因のがトップになりました。定期的に尿アルブミンの検査をしていれば腎症を早期発見出来ます。正常に戻すことが出来るレベルで発見して治療しましょう。

糖尿病神経障害
 高血糖が続くと末梢の知覚神経がおかされ、手足の痺れから始まりひどい痛みとなり、最終的には全く痛みを感じなくなります。靴に石ころが入っていても解らず靴を脱いで靴の中が血だらけになっていることもあります。感染しても痛みが無いため放置しがちで、ひどくなって血管障害とも重なり壊疽をおこし足を切断しなければならないこともあります。
 神経障害は足や手の末梢神経だけでなく、自律神経にもきます、頑固な便秘、糖尿病性下痢、立つと血圧が下がりめまいがして倒れる起立性低血圧症、発汗障害、膀胱の機能障害、勃起障害などが起こります。

動脈硬化症
 近年、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患が、日本人の死因の上位を占めるようになってきています。 「人は血管とともに老いる」とよく言われます。年を取ったら誰でも動脈硬化になります。しかし糖尿病の治療をきちんとしなかった患者さんは明らかに老化現象である動脈硬化が早くきます。私達の病院では動脈硬化を測定する機械を導入し糖尿病の患者さんの検査をしていますが、糖尿病患者さんとそうでない人と大きな違いがありました。予想以上でしたので学会に報告します。すなわち糖尿病特有の三大合併症がおこる前に動脈硬化症が忍びよっていたのです。これは高血圧症、高脂血症、喫煙、肥満、等によっても促進されます。すべての動脈硬化症は糖尿病単独のせいではありませんが、治療していない糖尿病が最も重要な危険因子であることにはかわりありません。それら危険因子が重なればさらに相乗効果をもって動脈硬化が加速されます。糖尿病の患者さんでこれらの危険因子を併せ持つ場合、治療目標を糖尿病だけを持つ患者さんより厳しくしなければなりません。

心筋梗塞
 動脈硬化が心臓に血液をおくっている血管におこり、血管がつまり心臓の筋肉が壊死に陥る病気です。壊死が広範におこれば心臓が破裂して一気に死亡します。
完全に詰まってしまう前に血管が狭くなっている診断がつけば、血管に風船を入れて細くなった血管を膨らませる治療をします。つまっていれば血栓を溶かしたり、バイパスの手術をします。友人の心臓外科医は糖尿病の患者さんの血管はもろくて手術するのが難しいと言っていました。

脳梗塞
 十分治療していない糖尿病では、脳に血液を送っている血管も動脈硬化が進行します。血管が傷んでそこにできた血栓が飛んで脳の血管を詰まらせたり、動脈硬化により血管内腔が狭くなり、やがて詰まってその先の脳が壊死に陥る状態を脳梗塞と呼びます。広範にまたは生命維持に重要な脳の部分に起これば植物人間になったり死亡します。
 多発性の小梗塞が先行する場合、症状はありません。進行して中等度以上になると痴呆になりやすくなります。

以上糖尿病の慢性合併症について簡単に述べましたが、どれをとっても大変な病気です。しかし糖尿病の血糖コントロールを中心にきちんと治療を続けていけば合併症を起こすことは少なくなります。またすでに合併症を起こしている患者さんでも治療を続けて行けばそれ以上進行しないようにする事ができます。 よく「自分はうまいものをたくさん食べ、酒を飲み、たばこを吸い、好きなことをやって太く短く生きるんだ」といって治療をしない患者さんがいらっしゃいます。しかし人生思いどうりに行かないものでこういう患者さんは合併症がでたあと長い期間苦しまれます。植物人間になったとたんに糖尿病の治療が徹底されそれから長生きされる患者さんもいらっしゃいます。
 糖尿病は検査の病気ともいわれます。これは初期においては症状が乏しく、病識(自分が病気であるという認識)が持ちにくく、診断治療の目安は血糖やHbA1c(グリコヘモグロビン) の検査だけだからです。定期的に検査を受けその結果を糖尿病手帳に記入して、データーが悪くなりそうになったら生活習慣を見直し、治療法を変更し、軌道修正しながら治療を続けて行かなければなりません。糖尿病を良く理解し知性と自分で治療していく意欲を持ち実行して行きましょう。私たちは出来るだけのお手伝いをいたします。

中島 弘二
日本糖尿病学会 認定医
元聖路加看護大学教授

元岡村一心堂病院院長(99年〜04年)



糖尿病コーナー
  次へ

糖尿病コーナー
  前へ

糖尿病コーナー
  最初へ

ホームへ

HOMEガンマナイフハイパーサーミア一心だより糖尿病コーナー
開院挨拶病院概要施設概要スタッフ医療機器病院への道順医師求人情報一般求人情報

- OKAMURA ISSHINDOW HOSPITAL / established in 1988 -